自然栽培の「赤玉ねぎ」を購入しました。
生産者は埼玉県の「橋本農園」さんです。
パッケージには以下のように書かれています。
淡く優しい滋味
ひたむきな
命の輝き
どれもが呆れる
ほどに美しい
自然栽培とは??
野菜の栽培方法は大きく分けて3種類あります。慣行栽培、有機栽培、自然栽培です。
慣行栽培とは一般的な農薬、化学肥料を使用した栽培方法です。スーパーや100円ショップに並ぶ野菜はほとんどがこれにあたります。形、大きさ、味が調整され、売り場に出せる基準を満たした秀でた野菜です。慣行栽培の野菜を効率よく生産することにより、物質的に豊かな大量消費生産の社会循環が可能になり、餓えることがなくなりました。しかしながらその反面、農薬、肥料が引き起こす慢性的な生活習慣病や環境汚染が問題になっています。
有機栽培とは一部の認可農薬(あるいは農薬不使用)と有機肥料を使って行う栽培方法です。自然食品店でよく見かける野菜がこれに当たります。第三者機関による審査が必要で「有機JASマーク」が表示されています。また最近では、一般的なスーパーでも見かけることが多くなりました。環境に留意した栽培方法ですが、有機肥料の元になる家畜の質が問題になっており、投与される抗生物質、ホルモン剤、ワクチン、あるいは飼料として与えられる遺伝子組み換え作物などの影響が心配されています。
最後に自然栽培とは、上記の慣行栽培、有機栽培とは異なり農薬、化学肥料、有機肥料も使わない栽培方法で、自然が持つチカラを借りて作物を育てる栽培方法です。より環境に優しい栽培方法として慣行栽培、有機栽培の代替え手段として誕生しました。まだ、きちんとした定義がなく、有機栽培のような認定制度がないため、自己申告制になっています。細かく見ると、土壌を耕すか、除草を行うか、自然栽培を始めて何年経つのか、などの区別がされています。
詳しくはコチラの記事をご参照ください・・・
橋本農園の赤玉ねぎ(埼玉)
うち(ナチュラルハーモニー)にも玉ねぎを出荷してくれている自然栽培生産者「橋本農園」さんの畑に。
橋本成正さんは多品目での自然栽培・自家採種に取り組み、地元の在来種を継いでゆくことにも力を入れています。
自然栽培8年目を迎えた彼の畑には、収穫作業中の瑞々しい新玉ねぎが畑に並んでいました。年々、形や収穫量が安定してきているという自家採種での玉ねぎ、橋本さんは首もとが締まりにくく保存が難しいと苦笑いされていました。
そんな中でも継続していくことが彼の凄さですね。今後も、取り組みも入荷する野菜両方が楽しみな生産者さんです。
参照元:ナチュラルハーモニー
私が購入した自然栽培の赤玉ねぎは、埼玉にある橋本農園さんのものです。生産者さんは橋本成正さん。関東方面では自然栽培のカリスマ的存在である河名秀郎さんが運営するナチュラルハーモニーさんと繋がりがあるみたいですね。
橋本農園さんは2017年現在、自然栽培を始めて8年目のようです。自然栽培は基本的に無農薬、無肥料で自然のチカラを活かした栽培方法であり、明確な定義はありませんが、細分化すると「何年やっているか」は重要なポイントになります。
元々の土壌が特に何も手をつけていない自然のままであるなら問題ないのですが、過去に農薬や肥料の散布を行った実績があるなら、自然栽培を始めた直後だと、残留農薬、残留肥料の影響が出てしまうからです。
すでに8年のキャリアがあるなら安心ですよね。
更に橋本農園さんの赤玉ねぎは固定種、自家採取の赤玉ねぎです。
固定種、自家採取とは??
固定種とは、親から子・子から孫へと代々同じ形質が受け継がれている種で、形質(味や形) が 固定されたものが育ちます。昔から続く在来種や伝来種は固定種のタイプです。
固定種は、自然淘汰のみで生まれた種と、人間が母本選抜を行いながら生まれた種が存在します。 現代ではあまり使用されなくなってきたタイプの種です。
一方、急速に普及が進んでいるのがF1種子(Filial 1 hybrid)、と呼ばれる種子で、直訳すれば”1世代交配”となり、一代雑種やハイブリッド種とも呼ばれます。
異なる親を交配させることで、次に生まれた子(第一世代の種)が親とは異なる新たな形質を持つ種子です。
この種子は対立遺伝子の両方を併せ持ち、一定に育つ特徴を持ちます。異なる特性を持つ親を人為的に掛け合わすことができるので、生産量や食味の改善が進めやすいことから、現代最も多く使用されているタイプの種です。(遺伝子組換処理ではありません。)
参照元:グリーンフィールドプロジェクト
固定種、自家採取を説明するには、F1種と雄性不稔を知る必要があります。
野菜は種からなりますが、その種には2種類あります。F1種と固定種です。現在スーパーや100円ショップで普通に並んでいる、形、大きさ、味の整っている野菜。その「売り場への進出を果たした優秀なエリート野菜」は、ほぼF1種の野菜です。
野菜にも遺伝というものがあります。人間と同じです。売り場に出されているエリート野菜の遺伝に注目しましょう。その売り場に出されているエリート野菜の母親と父親の遺伝子の中で、一世代目(F1)に限り必ず出てくる遺伝情報があり、それを優性遺伝といいます。
父親の優性遺伝からは素晴らしい形、大きさのものを、母親の優性遺伝からは食べやすい安定した味のものを受け継ぎたいですよね。そのようにして優性遺伝を人為的に調整して誕生するのがスーパーなどに並んでいるF1種の野菜たちです。でも、この優性遺伝は第一世代(F1)にしか現れません。したがって、スーパーにならんでいるエリート野菜を大量に生産するには、毎年F1の種を種メーカーから購入する必要があるのです。
そして、このF1の種を効率良く作り出すために「雄性不稔」という技術が用いられます。バラつきのある余計な遺伝情報をシャットアウトするために、片親は花粉ができない生殖能力が不能である奇形の個体をあえて使うのです。F1種はすべてが雄性不稔のものではありませんが、わたしたちは知らないうちに、このような奇形で人為操作の加わった不自然な野菜を口にしているのです。
F1種、雄性不稔の技術により、効率良く売りに出せる野菜が大量消費生産されるようになり、物質的には餓えることのない豊かな社会環境を生み出したと言えるでしょう。しかしながら、その反面、不自然な野菜を問題視するようにもなりました。そこで、注目されてきているのが固定種、自家採取の種です。
固定種とは、上記のF1種のような人為的に作り出した、売り場に出せるエリート野菜ではありませんが、その土地、土壌が育んだ代々受け継がれている、より自然に近い野菜です。エリートではありませんので、味や形にバラつきが生じますが、その土壌に密着した健康な野菜と言えるでしょう。
自家採取とはその名の通り、生産者さん自らが農作物より採取した種です。代々受け継がれてゆきます。しかしながらF1種は優性遺伝というその性質ゆえに、第一世代のみ有効なのでF2で発生するバラつきを避けるために自家採取はできません。再び種メーカーからF1種を買い直す必要があるのです。
F1種の野菜は簡単に言うと、見栄え、味のよいエリートな野菜ですが、不自然な奇形の野菜です。固定種の野菜は自然な出来栄えでエリートとは言えず、味もバラつきが出やすいですが、より自然で安心、安全な野菜と言えるでしょう。あなたならどちらを選びたいですか??
購入先は普通のスーパー
今回、自然栽培の赤玉ねぎを購入したのは、ネット通販でも自然食品店でもなく、実は普通のスーパーです。
「いなげや 杉並新高円寺店」正確な店名は「ina21杉並新高円寺店」に自然栽培野菜が売られています。丸の内線の新高円寺駅から徒歩4分、JR高円寺駅からだと徒歩15分の場所です。
東京都杉並区梅里2-10-11
03-3313-5841
営業時間10:00~23:00
http://www.inageya.co.jp/index.htm
店内の青果売り場にナチュラル&オーガニックコーナーがあり、そこに自然栽培野菜と有機栽培野菜が並んでいます。いなげやは東京、埼玉、千葉、神奈川に数多く店舗を出していますが、すべての店舗にナチュラル&オーガニックコーナーがあるわけではないようです。また、ナチュラル&オーガニックコーナーがあっても自然栽培の商品は無いかもしれません・・・。
自然食品店も通える範囲に何店かあるのですが、有機栽培メインで自然栽培の野菜、果物ってほとんどないんですよね。できれば自然栽培の野菜、果物が欲しいのですが・・・。
しかしながら、有機栽培のものでも良い質のものがあります。「有機JASマーク」が表示されているだけではなく、自然食品店ではその他の生産者情報が得られることが多いので、参考にして質の高い安全なものを選びましょう。
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