ヨーロッパの牛乳の歴史。当初、牛乳は飲み物ではなく食べ物として認知されていた。

牛乳 危険

昔から牛乳は身体に良いものとして知られていますが、近年では反対に牛乳は身体に悪い、危険なものとする情報も増えています。

なぜ牛乳が身体に悪く、危険なものであるのか?要因は複数ありますが、大まかに箇条書きすると、

・遺伝子組み換えされた穀物を牛に与えているため
・早く成長するように成長ホルモンを牛に投与しているため
・病気にならないように牛に抗生物質を投与しているため
・牛乳に含まれる乳糖の分解酵素を持つ日本人が少ないため
・牛乳にはカルシウムの他にリンもたくさん含まれており、体内のカルシウムを奪うため
・カルシウムはマグネシウムとセットで吸収されるが、牛乳にはマグネシウムが少ないため
・高温殺菌することでホエイが変性し、本来の牛乳ではなくなってしまうため
・牛乳に含まれるカゼインがホモジェナイズと高温殺菌により、胃で固まらず腸に流れ腐敗するため
・本来、牛乳は子牛の成長に合わせた飲み物であり、人間用ではない

このようにたくさんあります。詳しく知りたい方は当ブログで以前記事にまとめているので下記のリンクを是非ご参照ください。

近年、「牛乳」に対する情報は賛否両論に分かれています。それでもまだ私的には「牛乳=健康にかかせないアイテム」という認知が高いのではないか、と考えています。 「牛乳は身体に良い」と昔から言われてきましたが、近年になってどうして「牛乳は身体に悪い」と言われ出したのでしょ...

さて、そんな牛乳ですが、今回は「ヨーロッパにおける牛乳の歴史」という興味深い情報があったのでご紹介したいと思います。

『Milch besser nicht(牛乳は飲まないほうがよい)』の著者マリア・ロリンガー(Maria Rolinger)が英文要約を和訳したものの一部です。

牛乳バターの生産が多くなったことで、脂肪とチーズに関して、ヨーロッパを南北二つに分類できるようになった。南ヨーロッパは相変わらずオリーブ油と山羊と羊のチーズが主体であった。北ヨーロッパでは牛乳からバターをつくり、その残りから酸っぱくて臭いサワーミルクチーズ(訳者註:現在のサワーミルクチーズと同じものかどうか判らない)が作られた。このサワーミルクチーズは19世紀まで貧乏人の食べ物とされていた。このチーズは現在のチーズではなく、牛乳の中に存在する微生物が低脂肪乳を固めたものである。貧乏な農家はバターを金持ちに売り、自分たちはこのサワーミルクチーズかホエイチーズを食べていた。

修道院はチーズの製法を門外不出とし、従来の製法を堅く守っていた。修道院のチーズは主として山羊乳からつくられ、低脂肪牛乳からつくられるサワーミルクチーズに比べて美味であった。僧や尼はしばしばチーズに耽溺したから、院長は僧や尼にチーズを食べることを禁じなければならなかった。一般人はこのようなチーズを口にすることはできなかったし、バターは金持ちの食べ物であった。

面白いことに、ホエイに相当する古いドイツ語はホエイ(乳清)を意味するのではなく、「チーズの水」を意味していた。「チーズの水」はあるときはゴミ、あるときは動物の餌、またあるときは下剤として用いられた。17世紀にオランダ人がドイツでバターとサワーミルクチーズの生産で商売を始めたとき、彼らは同時に豚を飼育して大もうけした。「チーズの水」を与えると、豚は他の餌で飼うより速く大きくなったからである。今にして思えば、「チーズの水」にIGF-Iやエストロジェンが含まれていたのだろう。

19世紀まで、ドイツ語にもラテン語にも「牛乳を飲む」という表現はなく、「牛乳を食べる」という表現があっただけである。この頃まで、液体の牛乳は飲用食物と考えられていなかったからである。牛乳はバターにするか、サワーミルクにするか、コッテージチーズのようなものにして「食べて」いたのである。

参照元:甲斐由美子氏のFacebook

さらに、19世紀までは牛乳の生産量が現在のようにキログラムあるいはリットルで表されることはなかった。この当時の表現では「この牛は年間、たとえば50ポンド、のバターを生産する」というようにバターの出来高で表現されていた。

液体の牛乳が飲まれるようになったのは1870年代になってからで、産業の発展が保存のための冷蔵技術と運搬のための鉄道建設をもたらしてからのことである。どんなことでも新しい習慣は金持ちから始まることが多い。19世紀の終わりになって、都市に住む金持ちが農村から牛乳を求めるようになった。豊かな階層の人々でも都市で広大な敷地をもつ一戸建ての家に住むことはなくなったから、自宅で乳搾りをしてバターやチーズを作ることはできなくなった。

都市は埃っぽく見知らぬ人ばかりだ。豊かな都市住民は、かつて自分があるいは祖先が住んでいた清らかでなんでも自給できた農村の生活に憧れをもつ。都市住まいであっても少しでも昔の生活をとり戻したい。牛乳も欲しかった、それがいかに高価であっても。最初は牛乳を飲むという習慣はなく、バターを調理に使いサワーミルクを食べていた。家庭に液体の牛乳が持ち込まれるようになると、彼らはその液体そのものを口にする(飲む)ようになった。20世紀になって初めて液体の牛乳が飲み物として認識されるようになり、牛乳を飲むことが習慣となった。しかしその量はわずかであった。

農村の人々は相変わらず、液体の牛乳を普通の食品とはみなしていなかった。農村の人々が労働者として都市に移り住むようになっても液体の牛乳を飲むことはなかった。彼らが望んだのはバターであったが、それを購う余裕がなかった。都市では、バターは金持ちの食べ物となっていたからである。貧乏人のバターとしてマーガリンが考案された。このマーガリンは牛乳ホエー(乳清)に乳牛の体脂肪(タロウ)を混ぜ合わせたものだった。

19世紀の終わりに、コレラ、結核、ジフテリアなどの伝染病が流行し、都市では何千人も死んだ。死者は貧乏人だけでなく金持ちにもおよんだ。死者は液体の牛乳を飲んだものに多かったから、医者は飲み水の汚染だけではなく、牛乳も汚染源であると考えた。そのため、上流階級の間には生の牛乳は危険だという考えが広がった。そこで、牛乳の加熱処理が始まった。しかし加熱された牛乳は不味いという理由で金持ちにも貧乏人にも評判が悪かった。生の牛乳は病原体を運んでくるし、病原体を加熱して殺した牛乳は不味い。上流階級の牛乳に対する考えは揺れていた。

第一次世界大戦が終わった1920年代から30年代にかけて、政府と業界が牛乳は万人にとってよい飲み物だという宣伝を強力に繰り広げるようになった。この宣伝で牛乳の飲用が広まった。第二次世界大戦が始まるまで牛乳の消費は拡大し続けたが、それでも現在の消費量に比べるとずっと低かった。バター、自家製のサワーミルク、少量のチーズが当時の食卓にのぼった牛乳からの主たる乳製品であった。ヨーロッパで牛乳・乳製品の消費が今のように多くなったのは1950年以降のことである。

参照元:甲斐由美子氏のFacebook

ヨーロッパでは20世紀になって初めて牛乳が飲み物として認知されたという。それでもガブガブ飲まずにわずな量を飲んでいたとのこと。

それ以前の話になると、ヨーロッパを北と南にわけると南ヨーロッパではヤギからチーズをつくり、南ヨーロッパでは牛乳からバターを作り、その残りかすからサワーミルクチーズ(臭くておいしくない)をつくっていたとのこと。

このチーズは現在のチーズとは異なっていたそうで貧乏人が食べ、バターは高級品でお金持ちの食べ物だったとのこと。また同時期の修道院ではヤギからチーズを作り、貧乏人はヤギ由来のチーズや牛乳由来のバターは口にする機会がなかったという。

ドイツでは清乳いわゆるホエイをチーズの水と呼び、豚の餌にこのチーズの水を与えたという。成長が早いためだ。チーズの水はエストロゲン(成長ホルモン)などが含まれていたからだろう。19世紀まではこのような状況から牛乳は「飲みもの」ではなく、加工して食す、「食べもの」として認知されていたそうだ。また牛乳はリットルあるいはキログラムで換算されることはなく、バターの出来高で表現されていたそうだ。

さて、液体の牛乳が登場し出したのは1870年頃とのこと。冷蔵と運搬の技術が整ったからだ。農村から運ばれてきた牛乳を都市部のお金持ちが買ったという。その後20世紀になり牛乳が飲み物として大衆化したという。

しかし、それは都市部の人々の話で農村では相変わらず牛乳を飲むという習慣はなかった。農村の人が労働者として都市部に移り住むようになっても牛乳は飲まなかった。バターも高価で買えなかった。そこで牛乳ホエー(乳清)に乳牛の体脂肪(タロウ)を混ぜ合わせたマーガリンがつくられるようになった。

19世紀の終わりに伝染病が広がり、牛乳はその原因の一つとして考えられた。このようなことから牛乳を殺菌することが始まったが、加熱殺菌処理した牛乳は不味く、お金持ちにも貧乏人にも人気がなかったという。

その後、1920年から30年頃に政府と牛乳業界が「牛乳は身体に良い」ということを大衆に広めていった。そして1950年頃から現在のヨーロッパに見られる牛乳・乳製品の消費量になったという。

ヨーロッパにおける牛乳の歴史はおおざっぱですが上記のような感じのようです。

日本における牛乳の歴史は以前、母子手帳を軸にして記事にしていますので興味のある方は是非ご覧になってください。

近年になって「牛乳は危険」だという情報が増えている 以前、「牛乳は危険」という趣旨の記事を書きました。以下のリンクの記事がそれに当たります。 「健康に良い」と言われ続けてきた牛乳が、最近になって、なぜ「危険」と言われ出したのか、その要点...

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