プランターに「スベリヒユ」が生えていました。スベリヒユはいわゆる雑草に分類される植物で「どこからでも生えてくる」畑の邪魔者として扱われています。
私は都会暮らしで畑とは無縁の生活をしていますが、スベリヒユはあまり見かけることがありません。道路の植え込み、鉢植え、公園や空き地、私はどのような植物が生えているのか?眺めることが多いのですがスベリヒユはあまり見かけないんですよね。畑だとたくさん生えてくる感じなのでしょうか?
スベリヒユは他の雑草に比べて肉厚であり、多肉系の植物です。鉢植えやプランターに綺麗に整えて生育させれば観賞用の植物のように見えそうです。
さて、そんな畑の邪魔者扱い、雑草のスベリヒユですが食用になります。しかも、各種ミネラルが豊富で優秀な雑草であるようです。
スベリヒユの発祥・分布と栄養素について
この植物のことは畑をされる方はよくご存知のことだろう。抜いても抜いてもまた次々に生えてくる畑の雑草の代表、名前はスベリヒユ。中近東が原産で、世界の多くの地域そして日本全土に生えています。
スベリヒユの栄養価を参考までに。抗酸化物質の一つであるグルタチオンや、オメガ-3脂肪酸を多量に含む。ビタミンB、マグネシウム、鉄分も豊富で、解毒作用、コレステロール値、血圧、心臓冠動脈病などの血管系に優れた効果あり。だそうです。
なるほど、古くから世界中で薬草扱いされてきたことも宜なるかな。
スベリヒユは中近東が原産であり、世界各国で食されており、フランス料理にも使われているそうです。また特筆すべきはスベリヒユに含まれる栄養素でしょう。
抗酸化物質である「グルタチオン」、「オメガ-3脂肪酸」を多量に含むことをはじめ、各種ビタミン、ミネラル成分に富んでいます。血圧、血管系の疾患に効果があり、昔から薬草として重宝されています。
特に注目すべきは、抗酸化物質ではないでしょうか?現代社会の食生活では、肉体はもともと弱アルカリ性であるにもかかわらず、酸性に傾きがちになっているからです。
抗酸化物質のグルタチオンはグルタミン酸、システイン、グリシンという3種類のアミノ酸から構成されるトリペプチドであり、活性酸素から細胞を守る働きがあります。
スベリヒユの食べ方について
山形では「ひょう」と呼びます。「ヒユ」の音から来ているのでしょうか。ひょうは「ひょう干し」として保存が利くように加工したものを、主に、雪の降る冬の間に調理して食べるのが一般的です。特に正月の縁起物の料理として、あるいは病よけとして食べられてきました。
山形ではひょう干しを店で売っていますが、家庭で作る方ももちろんおられます。冬、野菜が貴重だった雪国では、さまざまの野菜や山菜を干して乾物に加工してきました。作り方はほとんど同じで、熱湯でさっと茹でたものを天日に干して完全に乾燥させます。ひょう干しは土用に干したものがおいしいのだとか。
最近知ったのですが、山形のひょう(スベリヒユ)はひょう干しのほかに、生のひょうを茹でてカラシ醤油でおひたしとしても食べるそうです。ところで、スベリヒユなるこんな雑草を食べるのは山形だけなのでしょうか?
調べてみたところ、ギリシャやトルコを中心にヨーロッパの人たちや北アメリカの先住民も紀元前から食べていたそうで、フランス料理の食材にもなっています。もちろん中国でも。
ギリシャやトルコではどのように調理して食べるのか。まず、生のまま好みのドレッシングでサラダ。え⁉そのままサラダ…。
そのうち挑戦してみるか…。でも、雑草ですからね。ほかには、炒め物にしたり、トマトといっしょに豚肉や鶏肉や魚などをあわせオリーブ油で煮込んだりして食べるようです。
なお、ギリシャではやや大きめの種類を野菜として栽培もしているそうですが、スベリヒユはヨーロッパにあっても、雑草だそうです。
日本国内では雑草として扱われていますが、スベリヒユを食用とする地域もあり、その一つが山形県です。山形県ではスベリヒユのことを「ひょう」と呼ぶようです。スベリヒユの「ヒユ」が「ひょう」に訛ったと言われています。
「ひょう」は干して「ひょう干し」として保存食にし、雪の季節の食料不足の助けになります。お正月に食される縁起物でもあるようです。
海外に目を向けるとギリシャやトルコではサラダとして食べられ、肉類あるいは魚類と合わせ、トマトと一緒にオリーブオイルで煮込んで食べたりするようです。ヨーロッパでは食用に栽培もされてるようですが、日本と同様に雑草扱いであるようです。
さて、わたし自身は、さっと茹でて「おひたし」にするのが良いと思います。雑草には「苦み」「えぐみ」が強いものがありますが、スベリヒユにはそれらがまったくと言っていいほどありませんでした。サラッとしていて非常に食べやすく、おひたしに鰹節と醤油で食べると、とても美味しいですよ。
また、洗ってから生で食べてもみましたが、噛めば噛むほどヌメリが増してきて面白い食感でした。ヌメリのある食材なので、「めかぶ」の代用としてもよいと思います。
【まとめ】雑草、スベリヒユ
昨今、スーパーなどで売られている「野菜」の危険性について情報が増えてきています。現代の野菜は大量生産するために栽培されており、様々な問題を抱えているのではないか?と叫ばれています。詳しくは以下のリンクをご参照ください。
さて、そんな中、野菜ではなく「雑草」に目を向けると、実は雑草にはビタミンや各種ミネラルが豊富なものがたくさんあり、もっと利用しても良いのでは?と思えてきます。
たとえば「つくし」は、どの野菜よりもカルシウムが豊富であり、植物の中で一番カルシウムが富んでいると言われています。また、つくしと一緒に春先に生えてくるスギナもカルシウムが豊富な他、見落とされがちな必須ミネラルである「ケイ素」の含有量が非常に高いのです。
今回紹介した「スベリヒユ」に関しても、抗酸化物質である「グルタチオン」、人体では合成できない「オメガ-3脂肪酸」が多量に含まれているのです。
量より質の時代になってきていると私は思います。普段あまり気にとめることのない「雑草」、その雑草の「質」に目を向けてみるのも面白いと思いますよ。
2018年5月6日 追記・・・スベリヒユ(ひょう)の料理動画
山形新聞社によるスベリヒユ(ひょう)の料理動画があったのでご紹介します。
参照元:YouTube
動画内では「おとこひょう」と「おんなひょう」、2種類の「ひょう」が紹介されていますが、スベリヒユは「おんなひょう」のことで、「おとこひょう」とは「イヌビユ」のことです。イヌビユも食べれる雑草として知られています。
料理はスベリヒユ(ひょう)の「からし和え」です。以下が料理手順になります。
ひょうを水洗いし、太い茎の部分はとり除きます。沸騰したお湯に塩を入れ、1分ほど茹でます。茹で上がったら水で冷やし、2~3センチの食べやすい大きさに切ります。からし醤油を混ぜ合わせ、盛り付けた上にからしを添えたらスベリヒユ(ひょう)のからし和えの完成です。
2018年8月29日 追記・・・食用以外の活用方法
畝の土の表面を紫外線から守り、保水もしてくれるスベリヒユ。バクテリアを守るだけでなく、茄子とピーマンを虫から守ってもくれるから凄い。
スベリヒユは食べると美味しいというのはよく知られた話だが、それよりも抗菌、解毒作用にもっと注目すべき。
畑で蚊に刺されたら、スベリヒユを千切って、葉や茎から出でくる粘度のある液体を塗ると、痒みが止まる。ブヨなどに刺されても、炎症を抑える。
畑に、匂いの強い虫除けや虫刺されの薬を持っていくより、こっちの方が手っ取り早いと思う。
参照元:岡本よりたか氏のFacebook
食用としての活用方法が目立つスベリヒユですが、抗菌、解毒作用も高いようです。虫に刺されたときスベリヒユから出る粘性の高い液体を塗ると、痒みと炎症を抑えてくれるとのこと。
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