【雑草・野草】オオバコを食べる

オオバコ

オオバコってどんな雑草??

オオバコという植物をご存知だろうか?「わからない。」という人でも実物を見せれば、「ああ、これのことか。」と誰でも見たことがある、そこら中に生えている雑草だ。よく踏み潰される。当たり前のように踏み潰され過ぎて、まさかオオバコが食えるだなんて想像にもおよばないだろう。でも食えるのだ。

5月中旬、草地に行くと、カラスノエンドウの鞘が真っ黒になり、雑草たちの入れ替えが始まった。シロツメ草、カタバミ、名前がわからないがスズメノカタビラのでっかいヤツ、ムギみたいなイネ科っぽいヤツが大地を陣取り出した。その中でオオバコも目立っている。丸っこい葉っぱを広げ、大地に這いつくばるようにしながら細長い茎を天に向けて花を咲かせる。

オオバコは繁茂しやすそうな人が立ち入らない柔らかな土壌を避け、人道付近の硬い土のところを陣取っている。その硬い土をシャベルで掘り起こそうとしても無理である。それほど硬い土に根を張っており、引っこ抜こうとしても葉だけが千切れてしまう。なんという力強さ、生命力。葉っぱだけ食べるので好都合ではあるが。まさか、これもオオバコの作戦なのだろうか??実際、人道や獣道の硬い土で繁殖するのは、それらに種子を付着させ、遠くに運んでもらうためである。

ホントにこれが食えるの??ってくらい何かに踏みつぶされまくっているので、中国では「車前草」という異名まである。車に轢かれても元気に再び生えてくるので、こんな名前が付いたという。オオバコを漢字にすると「大葉子」だ。葉が広くて大きいからである。カエル葉とも言われ、弱ったカエルをオオバコの葉陰におくと元気になるという言い伝えからきている。北海道から沖縄まで日本全土、どこでも見られる雑草だ。

オオバコの食用利用について

咳止めの効果があり、スーパーやコンビニで普通に売られている「のど飴」にオオバコが使用されている。ほとんどの人が、知らぬ間にオオバコを口にしているのだ。のど飴の成分表を見ると「ハーブ」と書いてあることが多い。このハーブの中にオオバコが含まれているようである。

成熟した種子は車前子(しゃぜんし)と呼ばれ、花期の全草を天日で乾燥したものを車前草(しゃぜんそう)といい、日本薬局方に生薬として登録されている。薬とは「草で楽になる」であるが、文字通りオオバコは薬としての効果がある。

まだ小さな若葉は黄緑色で柔らかい。それを定番の天ぷらにして食べれる。深い緑色の大きくなった葉は筋張っているので、これは干してからお茶にする。また、時期が進むと今度は種が出来てくる。赤ちゃんがいるおかあさんが乳腺炎になったとき、このオオバコの種を煎ってから飲ませると良いらしい。昔からの知恵は凄い。なんでもかんでも「病院に行って医者に診てもらう」前に、身近な自然物のチカラを借りる。覚えておいて損はないと思う。

オオバコの黄緑色の若葉は、苦み、えぐ味などの癖がなく、厚みのある葉なので歯ごたえが良い。どこでも生えている雑草なので、雑草食の入門にはもってこいである。風味や歯ごたえは「ルッコラ」に近いものがる。痛んでいない、新しい若葉の方が青臭さが少なく、熱湯で軽く茹で、水に晒してからバター炒めにするとおいしいのでお勧めである。

オオバコの仲間について

オオバコの仲間に「ヘラオオバコ」という植物が存在する。よく似ているが、オオバコに比べると葉が細長く、同じように咳止めの効果があるらしい。オオバコと同じように食用にすることが可能だ。

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