アパートの前に生えていたノゲシ。これぞ「ザ・雑草」と言わんばかりの、どこでも生えてくる悪役である。
ノゲシの仲間にはオニゲシがいる。より頑丈な容姿で葉がトゲトゲで嫌なヤツとしか思えないキングオブ雑草だ。
ノゲシは都会でもそこらじゅうに生えており、もはや風景に溶け込んでいるので、かえって気付かれないかもしれない。
しかしながら、ノゲシもオニゲシも食べることができる。
ノゲシは江戸時代に栽培が推奨されていた。その昔、宮古島では「オーファ」と呼ばれ野菜として食べられていた。「オーファ」とは真の野菜と言う意味だ。原産は欧州で世界中で見られるらしい。ヨーロッパではサラダにされ、中国では全草を薬用にする。
ノゲシは漢字にすると「野芥子」だ。
ケシ(芥子)の名はあるが、栽培が禁止されている麻薬成分のあるケシとは別物で、「葉の形がこの麻薬成分のあるケシに似ている」ことが野芥子の名の由来である。
タンポポと同じキク科の植物で、黄色い花が咲き綿毛ができるが、タンポポのそれと比べると小さい。春から秋にかけて花をつける。葉は鋸歯(きょし)と呼ばれる棘のようなものがあるが、柔らかいので痛くはない。
乳管と呼ばれる特殊な管状構造があり、茎を切るとキク科特有の白い乳液を出す。ノゲシの乳液には毒性はないが、他の植物の乳液には毒性があるものがあり、かぶれなどの皮膚炎の恐れがある。
冬場は「ロゼット」と呼ばれる、地面に這いつくばった葉を広げた状態になる。これは冬の寒い時期に太陽光を効率良く吸収し、地熱を利用して寒さをしのぐためである。
また生育する環境の条件が良いと、人の背丈くらいに成長し、まるで木のように見える巨大化した個体も確認できる。
わたしはいつも通り、味噌汁に突っ込んで頂いた。クセや苦味はなく、少しシャキシャキ感があり美味しかったが、苦味が強い個体が一般的らしい。天ぷら、おひたし、サラダにすることが多いらしいが、乾燥させてノゲシ茶にする地域もあるという。
通説だと、乳液に苦み、エグみがあるので灰汁取りが重要になってくる。熱湯に塩を少量入れ、歯ごたえが失われない程度に茹でた後、冷水に浸すと食べやすくなるようだ。苦み、渋みが強い場合は更に数回ほど水にさらすと良いようである。
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