カラスノエンドウ、3月から5月頃まで、春になると何処にでも出てくる雑草界で最もポピュラーな仲間だ。「見たことない人はいないんじゃいか?」と思えるほどだ。コンクリートジャングル、巨大ビルに占拠された大都会にも、ちょっとした空地や植え込みの脇から彼らは出現する。群生しては大地を陣取るのだ。豆ではあるが、あまりにもありふれているので、食用になると思う人は少ない。
実は、このカラスノエンドウという雑草は、ソラマメの仲間でたんぱく質が豊富であり、戦中戦後の食糧難のとき重宝されたという。カラスノエンドウという名は俗名で、本当の名はヤハズエンドウという。原産はオリエント、地中海地方で考古学的資料を見ると古代に栽培されていたらしい。日本では本州から沖縄まで何処にでも普通に見られる。秋に豆が熟すと真っ黒くなり、中身がはじけ飛ぶ。こどもの頃、まだ緑の豆鞘を使ってピーピー笛で遊んだ人も多いだろう。花は、紫とピンクの中間くらいの色をしている。
カラスノエンドウは、豆鞘、豆、若い新芽を食べることができる。比較的、豆部分より若い新芽を食べるのが主流のようだ。若い新芽はサッとゆでた後サラダにしたり、定番の天ぷらも美味である。その他、炒め物、あえ物などもOKで、お茶にして頂く地域もあるようだ。新芽は花が付き始める前に摘むとよい。花が付いた後は筋張って硬くなってしまうからだ。また、柔らかい新芽は虫たちも大好物であるので、アブラムシ等に先に食べられてしまいがちなので注意しよう。
豆の部分も、若い新芽同様に天ぷらのかき揚げが定番のようだ。鞘を除けて豆だけにし、味噌和えなんかも美味しい。変わりどころだと、まだ若い緑の豆と牛乳でポタージュ風のスープにもできるようだ。こちらはあまり美味ではなく、「古代の味」がするようですがね(笑)。
気になる方は、以下の動画をご覧ください・・・
参照元:YouTube(KENTANTAI 健啖隊 けんたんたい)
カラスノエンドウ(ヤハズエンドウ)のポタージュ風スープ、古代人風スープは割と簡単そうですね。まだ緑色の豆を鍋に入れ、少量の塩と水を加えて10分ほど煮込みます。その後、その煮た豆と適量の牛乳、玉ねぎをミキサーに入れてペースト状にします。最後に出来たペーストに牛乳を加えて煮込めば完成のようです・・・なかなか面白い創作料理ですが味の方はイマイチな感じらしいですね。
更に更に、調べたら同じく健啖隊さんのYouTubeに、カラスノエンドウの熟した真っ黒い豆の創作料理も紹介されていました。カラスノエンドウの豆は春から夏に移ろうとする頃に真っ黒く熟します。その黒く熟した豆で「チリビーンズ」が出来るみたいです。
参照元:YouTube(KENTANTAI 健啖隊 けんたんたい)
こちらも、ポタージュ風スープ同様に、あまり美味しくないらしい。圧力鍋で煮込んでも硬い、とのこと。それでも食えなくはないので、好奇心旺盛な方は挑戦してみるのも良いかもしれません・・・。
カラスノエンドウの仲間には、スズメノエンドウがいる。カラスというからにはスズメもいるのだ。やっぱりカラスよりスズメの方が小型なので、スズメノエンドウも小さい。花はカラスノエンドウのそれに比べると白いようだ。こちらも食用に適しており、食べ方はカラスノエンドウと同じである。私的にはスズメノエンドウはあまり見かけることがない。
マメ科の植物はエンドファイトとよばれる共生細菌とともに暮らす。カラスのエンドウもエンドファイトとともに暮らす。エンドファイトが土中からミネラルを吸収しカラスのエンドウに分け与え、反対にカラスノエンドウは光合成により炭素化合物を細菌たちに与えている。素晴らしい相互関係だ。
「雑草・野草を食べる」関連記事の紹介
【おすすめ】雑草・野草を知る関連書籍