【自然栽培】自然栽培と慣行栽培、有機栽培の違いについて

野菜

自然栽培とその他の栽培の違いについて

普通にスーパーや100円ショップなどで販売している産地のみ明記された野菜は「慣行栽培」の野菜です。慣行栽培は農薬や化学肥料を使って作物を栽培します。それに対し無農薬(あるいは一部の認可農薬)で化学肥料ではなく、有機肥料を使って作物を栽培する方法を「有機栽培」と言います。そして農薬も肥料も使わずに、自然のチカラのみを使って作物を栽培する方法を「自然栽培」といいます。

慣行栽培について

慣行栽培の野菜は大雑把に言うと、大量消費生産に合わせた、効率化優先の野菜です。それにより物量的に豊かで餓えることのない社会環境をもたらしましたが、その反面それまでにはなかった慢性的な生活習慣病や環境汚染を引き起こしました。現在は農薬という言葉で通っていますが、農薬とは「農毒薬」の略語です。

昭和40年以前は危険な有機塩素系農薬が使われていました。それにより急性疾患が増えたのを機に、その後は有機塩素系農薬の使用は禁止されましたが、より毒性の弱い農薬を回数を増して使用するようになりました。そのため、急性疾患ではなく慢性疾患が急増し、現代では生活習慣病、精神的病を抱える人が増え続けています。農家の方は農薬を使用した慣行栽培の野菜を売りに出しますが、農薬の危険性を熟知している自らは、無農薬の野菜を食べるというウワサさえ聞きます。

国産野菜は安全である、と誰もが信じていますが、日本の農薬使用量は世界一位、二位を争うほど多く、世界で一番危険な野菜とさえ言われています。それにより土壌の性質は大きく変化し、やせてしまい、現代の野菜は昔の野菜と比べると極端に栄養素が少ないスカスカの野菜になってしまっています。土壌の汚染、土壌の地下に流れる水の汚染、人体の汚染を招いているのです。

大量消費生産、効率化、人間中心の価値観により、農作物は品種改良、遺伝子組み換えされ、そこには本来の姿はありません。例えばイチゴはクリスマスケーキに合わせて大量に生産されますが、元々のイチゴの旬は初夏です。形や大きさ糖度をそろえるために過度の品種改良を行い、無理やり人間の都合で変えられてしまい、農薬を大量に使用しないと育たなくなってしまいました。また慣行栽培の作物は、農薬に耐性を持たせるために、遺伝子組み換えされているものまであります。

有機栽培について

有機栽培は慣行栽培と比較してより安全性の高い栽培方法として認知されており、第三者の認可が必要な栽培方法です。認可された野菜は「有機JASマーク」があるので見たことがある人も多いと思います。

1992年農林水産省が「有機農産物及び特別栽培農産物に関わる表示ガイドライン」を作成し、それに基づき「科学的に合成された肥料及び農薬を避ける事を基本として、畔播種または植え付け前2年以上の間、堆肥による土づくりを行った農場において生産された農産物」を「有機野菜」と定義しました。

さらに2000年に日本農林規格(JAS)が改正され、有機農産物またはそれに類似した「有機JASマーク」を表示するためには、農林水産省の登録を受けた第三者機関の認証による審査に合格することが必要になりました。このような流れで、有機栽培野菜は誕生しています。有機食品の検査認証制度についてはコチラをご参照ください。

「有機栽培は無農薬」と思っている人が大半かと思いますが、それは間違いです。無農薬の有機栽培作物もありますが、有機栽培といえども収穫できなければ意味がないので、やむを得ず認可された農薬の使用が許されています。有機栽培で認可されている農薬はなんと30種類以上もあり、基本的には天然由来、微生物資材の農薬ですが、中には化学農薬であり、他の化学農薬と同等の殺菌力を持つ、硫酸銅と消石灰の混合溶液であるボルドー液などもあります。

また肥料に関しては有機肥料であり、家畜の糞尿由来のものがメインですが、ここにも質が問われます。先に慣行栽培は「大量消費生産に合わせた効率化優先」と書きましたが、有機肥料の元になる家畜もそれにあたります。

効率良く家畜を育てるために抗生物質やワクチン、ホルモン剤などが与えられ、大量に育てるためにエサもコストカットが必要になり、牧草ではなく安価で手に入る遺伝子組み換えの飼料を食べさせることになります。もちろんすべての家畜がこのような育ち方をしている訳ではありませんが、上記のような人為的に作り出した化学物質や遺伝子組み換え飼料由来の有機肥料は、化学肥料以上に土壌を汚染するとも言われ、その土壌で育った作物も汚染の影響を受けていると言えるでしょう。

上記のことから、慣行栽培より健康に良いというイメージがある有機栽培の作物でも、その安全性はピンからキリであり、場合によっては慣行栽培の作物より健康への危険性が高いかもしれません。有機栽培の作物は自然食品店などでは生産者情報(農薬を使用しているか?または使用する回数は?あるいはどのような有機肥料を使っているのか?)が得られることが多いので参考にしてみてください。

自然栽培について

有機栽培が農林水産省の登録を受けた第三者機関の認証が必要だったのに対し、自然栽培には明確な認証基準がありません。そのため自然栽培を行っているか否かは自己申告制になっています。自然栽培は慣行栽培、有機栽培の代替え手段として誕生した栽培方法であり、まだまだ日が浅く定義が曖昧なのです。

上記を踏まえた上で自然栽培を大まかに説明すると、農薬を使用しない、化学肥料も有機肥料も使用しない、自然のチカラのみで作物を育てる栽培方法であると、一般的には認知されています。

更に自然栽培を細分化すると、栽培する土壌を耕すか否か、周囲の雑草を除草するか否か、農薬と肥料の散布を止めて何年経ったか、あるいは過去にどのような種類の農薬、肥料を散布し、それらの散布回数や使用量はどれくらいか、などが問われてきます。

特に自然栽培を行う土壌が、過去に農薬や肥料を使ったことのある土壌か否かは重要になります。自然栽培を行って日が浅い段階では、それら過去の残留農薬、残留肥料の影響が出てしまうからです。そのため、自然栽培一年目、自然栽培二年目など
農薬、肥料の使用を止めてからの年数を知ることが必要です。

また、著名な特定の個人が築き上げた自然栽培方法もあります。例えば「奇跡のりんご」で著名な木村秋則氏の自然栽培による「木村式自然栽培」、自然栽培のパイオニア的存在で「わら一本の革命」「粘土団子」で著名な福岡正信氏による「福岡式自然農法」、近年では精力的に無農薬、無肥料栽培を広めている環境活動家の岡本よりたか氏が提唱する「よりたか農法」などがそれにあたります。

安全面において、大量消費生産による効率化優先の食産業、農産業は、様々な人工添加物、農薬や肥料を生み出し、それらが生活に入り込むことで生活習慣病が増えました。したがって、そのような状況と比較すると、無農薬、無肥料の自然栽培は人体にとって安全であるとされています。ところが、これは科学的な調査に基づいたものではなく、あくまで直感的なイメージであるのは事実であり、自然栽培作物を食べ続けるとどうなるのか?これについての大規模な科学的統計データは今のところ存在しません。

しかしながら、「農薬・肥料を使って育てた野菜」と「農薬・肥料を使わずに育てた野菜」、あなたはどちらを食べたいですか?と問われたら、誰しもが後者を選択するのではないでしょうか?また、農業という産業自体が環境を破壊しているという側面はありますが、農薬や肥料の散布はより環境へのダメージが大きく、農薬や肥料の生産のために使われるエネルギー確保に関しても、自然へのダメージは大きいのです。これらのことから、自然栽培は多くの環境問題を抱えているこれからの時代に注目されるべき栽培方法と言えるでしょう。

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