重曹で放射能対策は可能なのだろうか?

重曹 放射能対策

掃除や洗濯時の洗剤の代用、またはパンやケーキなどを膨らます食品添加物として知られている重曹。元々は医薬品であり胃酸の出過ぎを抑える「制酸剤」としての存在でもあります。

重曹には3つのグレードがあり、「洗剤代用としての重曹」「食品添加物として口に入れられる重曹」「医薬品としての重曹」の3つに区別され、主にソルベー法と言われる化学技術で生成されますが、天然物、自然物由来の重曹もあります。重曹の概要については下の記事をご参照ください。

洗濯の洗剤代用、あるいは調理の添加物として認知されている重曹。安価で手軽に購入することができますが、最近では健康維持のためのアイテムとして使われ出しています。虫歯の予防、放射性物質による汚染の改善、癌の予防や治療など、重曹が「万能薬」であるかのような情報が多く見ら...

さて、そんな重曹ですが最近では健康維持に有効なのでは?という情報が多くなっています。現代社会の食生活は酸性過多であり、人体はもともとアルカリ性であるので虫歯や癌、糖尿病など様々な病気にかかりやすく、それらに対して重曹の弱アルカリ性質が酸性を中和するので健康維持に有効なのでは?ということです。

私自身も重曹のアルカリ還元性質は評価していますが、「重曹による健康維持の情報」には、むしろ「不健康になってしまうリスク」や、「話しに尾ひれがついて万能薬のように扱われ過ぎている」ものがあり、注意が必要と言えるでしょう。詳しくは下の記事をご参照ください。

近年、重曹が健康維持に良いことがインターネットを中心に話題になっています。今までは掃除に使う洗剤の代用、調理の添加物として認知されていましたが、酸化した身体への還元作用、放射能対策、虫歯予防、あるいは癌に効く等、重曹の効果に注目が集まっています。 そ...
重曹による虫歯予防は本当に安全なのだろうか? 重曹は掃除のとき、油汚れを落とすのに使ったり、調理の添加物として、お菓子やパンを膨らますために使いますが、最近では健康を維持するために使うことも多くなってきています。 本来、人間の体はアルカリ性です...

そこで今回は「重曹による健康維持」の中で「放射能対策に有効なのではないのか?」という話題が見受けられるので、そのことについて書いてみたいと思います。まだまだ放射性物質による環境汚染、人体汚染は続いているので興味のある人も多いでしょう。

重曹による放射能汚染対策について

インターネットで「重曹による放射能汚染対策」の情報を探していると、おもに3つの事例にたどり着きます。

・アメリカの軍事研究機関「ロスアラモス研究所」が土中の放射性物質ウランの除去に成功した事例

・同じく「ロスアラモス研究所」や「アン・ルイーズ・ギトルマン博士」が勧める、重曹と天然塩をお風呂に加える「デトックス風呂」の事例

・千葉県の大喜多町の田畑で行われた「土壌の放射性物質を重曹で除去した実験」の事例

以上の3つの事例です。

ロスアラモス研究所のウラン除去の事例について

「ロスアラモス研究所のドン・ヨーク博士が重曹(炭酸水素カルシウム)を使って、土壌から92パーセント以上のウランの除去に成功した」という研究結果があると聞いて、ロスアラモス国立研究所について調べてみました。

この国家研究機関は、アメリカで年間国家予算21億ドル(2013年、100円換算で2100億円)を費やして維持されていて米国ニューメキシコ州にあります。

設立は第二次世界大戦中の1943年に、マンハッタン計画の中で原子爆弾の開発を目的として創設されました。初代所長は、原子爆弾開発プロジェクトの科学部門で指導的役割を果たし、「原爆の父」として知られたロバート・オッペンハイマーです。

参照元:健康・環境関連ニュース

「ロスアラモス研究所」とはアメリカのニューメキシコ州に存在する「ロスアラモス国立研究所」という、1943年に原子爆弾の開発を目的として創設されたアメリカの国立研究機関です。言ってみれば、原子力、放射線物質の専門機関です。

ロスアラモス研究所に所属する「ドン・ヨーク博士」という人物が、土中に含まれている「ウラン」を重曹を使って分離、結合させ、92%もの除去に成功したとのこと。

ウランとは別名ウラニウムとも言われる元素で、放射性核種です。核燃料として知られ、核兵器の開発に使われています。

「ドン・ヨーク博士」という人物はネット上で「本当は存在しないのでは?」という声も上がっていますが、マイクロソフト社と提携している、ビジネス情報検索エンジン「ZoomInfo」に登録されている実在の人物らしいです。電話番号、メールアドレスも公開されています。

ZoomInfo(Don York)

重曹、天然塩を使った入浴、デトックス風呂について

重曹を使った入浴、デトックス風呂については、重曹だけではなく、天然塩がセットになります。この重曹+天然塩を使って入浴する放射性物質対策には2つの情報があります。

アン・ルイーズ・ギトルマン博士による重曹風呂

アン・ルイーズ・ギトルマン博士が紹介している重曹と食塩を浴槽に入れる「デトックス風呂」が分かりやすいのでご紹介します。皮膚は、「第二の肝臓」と言われ、皮膚からのデトックスも有効だと言われています。

博士の勧める使い方は、重曹2ポンド(約1キロ弱)と食塩2ポンドを湯船に入れて、20分浸かります。その後、4時間はシャワーを浴びずにそのままでいます。寝る前に入り、そのまま寝てもいいそうです。

参照元:健康・環境関連ニュース

アン・ルイーズ・ギトルマン博士は、アメリカの栄養士であり、NYタイムズのベストセラー「ファット・フラッシュ計画」など、30冊以上の本の著者でもあります。英語ではありますが、アン・ルイーズ・ギトルマン氏のWEBサイトもあります。

http://annlouise.com

Amazonで販売されている著作です。


The Fat Flush Journal and Shopping Guide ( Gittleman )


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以下のYouTube動画は重曹+天然塩によるデトックス風呂の紹介です。


参照元:YouTube

アン・ルイーズ・ギトルマン氏の「放射線被爆のためのデトックスバス」には、重曹と天然塩をそれぞれ1kg弱浴槽に入れ、20分浸かるやり方です。その後4時間はシャワーで体を流さないようにするようです。

ネット上で拡散されている重曹風呂について

放射性毒を体内から排出するためには、お風呂のお湯に海塩と重曹を1/2カップずつ入れてください。
毎日20~30分間を約3週間、または、2日に1度、6週間、そのお湯に浸かります。

参照元:るいネット

こちらの方法は重曹、天然塩それぞれ2分の1カップを浴槽に入れるやり方です。2分の1カップとは60gです。先述したアン・ルイーズ・ギトルマン氏の方法と比較すると1割にも満たない量になります。しかしながら1度だけではなく、20分から30分の入浴を約3週間、あるいは2日に1回を6週間続けるとのことです。

千葉県の大喜多町の田畑で行われた「土壌の放射性物質を重曹で除去した実験」について

千葉県の大喜多町の約1,000坪の田畑で、放射能の測定と、重曹で放射能除去の実験を行いました。

田畑の一番多いところが0.070、
次が0.065でした。

実験前は、重曹撒いて暫く放置する時間が必要かなと思っていました。

実際に上記の放射線量が多いところに撒いたところ、なんと言うことでしょう?
瞬時に放射線量が減ったのです。

0.070→0.051
0.065→0.045

こんなに直ぐに放射能除去できるとはビックリしました。

どういう仕組みかわかりませんが、驚きです。

参照元:宇宙語伝道師ヤンガスのブログ

上記の数値「0.070→0.051」、「0.065→0.045」というのは「μSv/h」のことでしょう。ちなみに国(環境省)の基準では、0.23μSv/h以上の地域が、「放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染状況重点調査地域、除染実施計画を策定する地域」と定めているようです。

また上記の実験では重曹は粉末のまま土壌に散布したとのこと。参照元の画像から判断すると、使用された測定機器は「HORIBA Radi PA1000」というガイガーカウンターのようです。


堀場製作所:堀場 環境放射線モニター(シンチレーション式) PA-1000 型式:PA-1000

個人的な総評、まとめ

今回3つの事例について書いてみましたが、これらを総括するのに2つにまとめてみます。

一つめは、「放射性物質に汚染された土壌の改善に重曹は有効なのか?」です。

この場合、土壌改善に用いられる物質は重曹のみであり、他の物質は使いません。科学的な機序はハッキリしていませんが、何らかの理由で「程度に差はあるが、重曹により土壌の放射線物質による汚染が改善された」とわたしは思います。千葉県の大喜多町の田畑で行われた実験については、一般大衆の方が行ったものですが(だからと言って、信ぴょう性がないとは思いません)、ロスアラモス研究所によるウラン除去の報告は、その道のスペシャリストの報告であり、信ぴょう性は高いのではないかと思います。

しかしながら、「重曹が放射性物質を土壌から分離し、結合させた」とありますが、どのような化学反応が起こったのか詳細は不明なのも確かです。はたして、どのようなことが起きたのでしょうか?

重曹と土壌、この2つのワードを目にして思うことは、重曹は元々酸性土を改善するための物質でもあることです。

酸性の土壌の中和に用いれば、アルカリ性の土壌を好む植物の生育がよくなる。

一般的に土壌の中和は重曹ではなく、消石灰(水酸化カルシウム)が用いられる。農作物や人畜及び水産動植物に害を及ぼす恐れがないことが明らかなものとして、安全性の認められた特定農薬(特定防除資材)の1つであり、有機栽培でもウドンコ病等を防除するために使用される。

農薬としてハーモメイトが登録され、一般に販売されている。ただし、炭酸水素ナトリウムは葉を褐変させる薬害が起こりやすいため、より薄い濃度で高い殺菌効果を持つ炭酸水素カリウムの方が多く用いられる。

参照元:Wikipedia

重曹が直接、放射性物質を土壌から分離、結合させた可能性の他に、放射線物質に汚染された土壌に重曹を散布することで、土壌がアルカリ性になり、アルカリ性質を好む植物や土壌中の微生物が活性化し、放射性物質を無害化した可能性があるのではないか?と私は考えます。

実際に、太古の地球環境は放射性物質の濃度が現在の地球より格段に高く、放射性物質をエネルギー源としていた微生物がいたと考えられますし、人間の体も酸性に傾いて弱っている場合、アルカリ性の物質の還元能力で免疫力が活性化するので、大いに可能性がある考えだと私は思うのです。

続いて二つめは「重曹風呂のデトックスによる、人体の放射線物質による汚染の改善」についてです。

こちらは重曹にプラスして天然塩も使用した放射性物質汚染のデトックス方法になります。こちらの場合も明確な科学的機序はわかっていません。

しかしながら、一つ目で説明した土壌の改善と同じような可能性でデトックスされるのではないかと思います。つまり重曹が直接、放射性物質を除去している可能性の他に、重曹が人体の免疫力、抵抗力を活性化させ、放射性物質を体外排出させたということです。

浴槽に浸かることで発汗があるので、まずそこで放射性物質の体外排出がされると考えられます。更に、人間は皮膚から発汗したりわずかですが呼吸したりしています。重曹と天然塩が入った浴槽に浸かることで皮膚全体から重曹、天然塩を吸収している可能性もあるのではないでしょうか?

天然塩には、人体に必須のミネラルを含む微量のミネラルが多く含まれており、それらが作用して人体のデトックス能力が活性化し、さらに重曹の還元作用も加わり、より強力に免疫力、抵抗力が高まり、放射性物質の体外排出が促されるのではないか?と私は考えています。

結論として、直接、重曹が放射性物質に作用して分離、結合を行う可能性の他に、重曹は土壌の微生物、植物、人体がもともと備えている免疫力、抵抗力、活性能力を引き出す「起爆剤」としての作用の方が強いのではないか?そのような可能性があるのではないか?ということです。

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