日本はカルシウムの重要性ばかり話題だった
私は現在39歳なのですが同年代の人は子どもの頃、牛乳を飲まなければ健康になれない、歯や骨が脆くなるなど言われ続けたと思います。牛乳にはカルシウムが多く含まれているからです。しかし最近では牛乳の危険性について多くの情報が飛び交うようになりました。
さて、そんなカルシウムですがカルシウムを吸収するにはマグネシウムが必要であり、カルシウムとマグネシウムのバランスが肝心なのです。他にもマグネシウムには様々な利点があります。
現代人はマグネシウム欠乏の人が増えている
マグネシウムは生命の基礎ミネラルと言っても過言ではありません。マグネシウムが充足していると様々な疾患の予防になり、不足するとメタボの原因になります。
どれくらい摂取すればいいのか
マグネシウムは1日当たり350~500㎎の摂取が望ましいとされていますが、厚労省の調べ(2015年)では250㎎が現在の平均のようです。これでは欠乏症、慢性疾患が起きてもおかしくない低さのようです。
日本の土壌にはそもそもミネラル成分が少なく、農薬や酸性雨、カリ肥料の影響もあり農作物に含まれるマグネシウム含有量は減少しています。
マグネシウムを摂ると寿命がのびる
マグネシウムが寿命に関係するということは日本以外の各国で報告をしています。国立がん研究センターによると、日本人45歳から74歳を対象にした15年間の追跡調査において、マグネシウムの摂取量が増えるほど、脳卒中や心筋梗塞のリスクが30~40パーセントも減少したそうです。
マグネシウムの働きと基礎
マグネシウムはどんなに少なく見積もっても600種類以上の酵素反応(エネルギー代謝やタンパク質合成など)に関与しています。
生体のミネラル量は亜鉛2グラム、鉄5グラムに対しマグネシウムは25グラムと多く含まれています。それくらいマグネシウムはきちんと維持しなければならないミネラルなのです。
酵素は活性化する際に化学修飾が必要になります。例えばリン酸化という化学修飾がありますが、リン酸化にはマグネシウムイオンが不可欠です。また解糖系とミトコンドリア系の過程においても10種類以上の酵素がマグネシウムを必要とします。
酵素はミネラル無くしては働きません。またビタミンやホルモン、エネルギーも同様です。
マグネシウムが多く存在する場所
マグネシウムは骨と歯に多く存在します。体全体の60~65%のマグネシウムを含みます。骨や歯はミネラルを貯蔵する場所としても機能しているためです。
骨密度をあげるためにカルシウムは関係ないという情報を近年よく見るようになりましたが、骨密度をあげるにはマグネシウムが必要になります。マグネシウムはミネラルの貯蔵の調整を行っています。
他にもマグネシウムは脳、心臓、筋肉に多く存在しています。マグネシウム不足になると脳に悪影響が出ます。偏頭痛、脳梗塞、脳卒中、不安神経症、うつ症状、不眠、脳の興奮などです。また心臓では高血圧、不整脈、心筋梗塞、狭心症などのリスクがあり、筋肉ではけいれん、こむら返り、つる、まぶたのピクピク、インスリン抵抗性などのリスクがあります。
マグネシウムの摂取量が増えるほどインスリン濃度が低下します。インスリン濃度が高いということはインスリン抵抗性が生じている状態です。インスリンが効かなくなっているのでインスリンの量が増えているのです。糖尿病体質の人はインスリン濃度が高く、それを正常化するにはマグネシウムを摂取し空腹時のインスリン濃度を低くすることで改善の可能性が高くなります。
生命進化とマグネシウム
私たちの先祖は数十億年前に海の中で誕生したと言われています。海の中はカルシウムよりマグネシウムの方が多く、そのためマグネシウムを利用して進化してきました。
細胞内外のバランスを保つのにマグネシウムが必要であり、海を離れ陸に進出していった生物は常にマグネシウムを追い求め、欠乏と戦ったのです。木の実、海藻類、魚介類を食べて補いました。
マグネシウムはどのような食品に多く含まれているのか
マグネシウムは海藻類、豆類に多く含まれています。
海藻類にはクロロフィルという葉緑素があり、クロロフィルにあるポルフィリン環という構造の中心にマグネシウムが存在しています。また海藻ではなく同じ緑系の緑黄色野菜にもマグネシウムは多く含まれています。
豆にあたる種子は芽を出して成長していきます。このとき沢山の酵素が必要になり、酵素を活性化するためにマグネシウムが必要なので、豆(種子)にはマグネシウムが多く含まれているのです。
その他にマグネシウムが多食品は、ゴマ、きくらげ、干しエビ、煮干し、カレーパウダー、ドラゴンフルーツ、しそ、つるむらさき、モロヘイヤなどがあります。
参照:youtubeチャンネル「栄養チャンネル Nobunaga」