業界関係者からは「勤務前のアルコール検査は常識」といった意見も聞こえるが、梅沢容疑者の勤務先である南武運送の親会社「南武」の担当者は30日「運転手の飲酒の検査はしていなかった。私の覚えている限りではこの事件の他に現場で人が死亡したような事故はありません」と説明した。
しかし、関係者の証言から浮かび上がったのは、安全管理を杜撰にしてきた南武の“不都合な真実”だった――。実は、南武は7年前にも死亡事故を起こしていたというのだ。同社をよく知る人物が語る。
「2014年8月には『南武』の前身である『南武建設』が現場を管理していた東京都江戸川区のマンション建設現場で死亡事故が起きています。40kg以上の鉄筋が220本も倒れ、従業員3人が下敷きになりました。30歳だった男性と、29歳のキューバ人男性の2人が死亡し、40代の男性が重傷を負う大事故でした。普通なら建築用の鉄柱は完成してから現場に届けるのですが、トラックの積み荷を軽くするために鉄柱の中身が空洞のまま運び、それを現場で完成させる作業中に鉄柱が倒れたことが原因です。事故後は社内の空気がかなりどんよりし、会長や社長と会っても事件について聞ける空気ではなかったようです。