胃がんの検診でバリウム飲んだら腸が破裂 人工肛門に 衝撃走る

胃がんの検診でバリウム飲んだら腸が破裂 人工肛門に

■バリウム検査の翌朝、刺すような痛みが襲う
この他、急性アレルギーが起きて入院したケースなど、様々な偶発症が起きている。

バリウム検査を受けると、数日のうちに白い便が排出されるが、大腸などにバリウムが滞留してしまうと、腸閉塞や、穿孔(せんこう)(穴が開くこと)を起こす場合があるのだ。次に紹介するのは、バリウム検査を受けて、九死に一生を得た男性のドキュメントである。

「もう無理だ。救急車を呼んでくれ!」

午前6時過ぎ、顔面蒼白の男性(当時61)は、声を振り絞って妻に告げた。下腹部の奥から、刺すような強い痛みが断続的に襲ってきた。前かがみに身体を折ったまま、ソファから動けない。全身から吹き出る汗で、パジャマがぐっしょり濡れていた。尋常ではない痛みに、目をつぶって耐えた。

思い当たる節はあった。前日、男性は自治体の胃がんバリウム検査を受けたのだ。渡された下剤はしっかり飲んだが、トイレで何度いきんでも何も出なかったのである。

■緊急手術から目覚めると、下腹部には人工肛門
救急搬送された病院で、男性は4回にわたって浣腸を受けた。それでも痛みは消えない。

午後7時、X線検査の画像を見た医師は、男性に告げた。

「おそらくバリウムが原因で腸が破れています。手術をしないとダメです」
「手術は明日ですか?」
「いや、今すぐにやります。そうじゃないと手遅れになる」

医師の厳しい表情を見て、男性は事の重大さを知った。手遅れ、ということは死ぬかもしれないのだ……。

午後9時、緊急手術が始まる。

下腹部を開いて、バリウムによって穿孔した下行結腸部分が切除された。大腸に穿孔が起きると、便で腹部が汚染されて腹膜炎や敗血症を起こし、死亡することもある。

午前0時過ぎ、手術は終了。最悪の事態は回避された。

それから2日間ほど、男性は意識が混濁した状態が続く。ようやく覚醒すると、左の下腹部に違和感を覚えた。目をやると、そこには人工肛門が装着されていた。入院は17日間におよび、手術と入院にかかった費用は約30万円になった。

男性は東京の会社で定年まで働き、故郷の町にUターンして第二の人生を始めた直後の出来事である。特に持病もない。バリウム検査の翌日には、ゴルフに行く予定だった。

■「バリウムとの因果関係がハッキリしていない」
人工肛門となって、男性は身体障害者4級の認定を受けた。役所で手続きする際、バリウム検査をきっかけに起きた事の顛末を話したが、お気の毒でしたと言われただけだった。

この対応に納得がいかない男性の家族は、胃がん検診の問題を報道していた私(筆者)に連絡してきた。そこで、自治体と検診団体の担当者らが、男性の自宅を訪ねて話し合う時に、私は隣室で聞くことにした。

まず男性が口火を切る。

「医療費についてはどうなりますか」
「今の段階では、自己負担していただくしかありません。高額医療については国保で対応させていただくことしかできない」

自治体には一切責任がないという姿勢に、男性は反論する。

「死にかけたんですよ。本当に苦しい思いをしました」
「ということは医療事故として裁判をお考えですか? 我々にも予測できないことでしたし、バリウムとの因果関係がハッキリしていません」

だが、外科医が男性に渡した診断書には、「バリウムで穿孔した」と明確に記載されている。それを男性が示そうとすると、検診団体の関係者は「専門家じゃないので」と言って、見ようともしない。

参照:https://news.livedoor.com/article/detail/26540759/

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